インライン粒度センサーISRA

インタビュー : 2003年2月

旧粉体技術カンパニー技術グループ
大畑 学

        

インライン粒度センサーISRAとは?

この装置は何をするものですか?

大畑
私たちの身の回りには粉を材料とした製品が沢山あります。そのため食品、医薬、一般工業などの多種多様な分野で粉を製造しています。小麦粉や塩・砂糖など、粉そのものが製品となるものはもちろん、一見粉には見えなくても、ビデオテープや磁気ディスクなどのように、特殊なシートの上に磁気を帯びた粉を乗せ定着させ製品化しているものもあります。インライン粒度センサーISRA(以下ISRA)は、そのような製品材料となる粉の、大きさのばらつきをリアルタイムに測定する装置です。

なぜ粉の大きさのばらつきを測定するのですか?

大畑
どのような粉(粒子)でも、粒子個々の大きさ(粒度)には必ずばらつきがあります。これは、言い換えると「粉は大きさに関する分布を持っている」といえます。この分布のことを“粒度分布”と呼んでいます。この粉のばらつきが、製品の品質を大きく変えることがあり、製造過程で粒度分布の変動を計測・監視し、規格から外れないようにする必要があります。粉を製造する過程では、どうしても大きさにばらつきが出てしまいますから。

最初が肝心ということですね?

大畑
そうですね。
例えばプラスティック製品などは、樹脂の粉を型に入れ、溶かして成型するので、型の隅々にまで粉が入るように材料を粉砕する必要があります。また、近年流行の紫外線をカットするUV化粧品などには、ある特定の粒度の時だけ紫外線を通さない性質を利用した特殊な粉が入っていて、一定の粒度にすることが大変重要になります。

粒度をリアルタイムで測定することで、どのようなメリットが得られるのですか?

大畑
現在、粉の製造過程では、作業者が製造ラインから一日数回サンプルを手作業で取り出し、分析室で粒度分布測定を行う手分析が主流です。しかし測定した時の値は良かったものの、次の測定までに不適合が発生した場合、不良品を作り続けてしまうなどの問題 点があります。そこでISRAでは、その問題点を解消するため、リアルタイム(5秒~9999秒間隔)で連続的に粒度分布を測定できるようにしました。
下はISRAが実際に粉を測定した時の表示画面です。中央下が粒度分布のグラフで、横軸に粉の粒子径、縦軸にサンプル中(サンプル全体を100%とした場合)の体積頻度を表しています。手分析では、一日数回しか得られなかったこの測定結果が、ISRAではお客さまの希望する時間間隔で、お客さまの手をわずらわせることなく、得ることができます。また、この測定結果はお客さまの手元のパソコンへ瞬時に届くので、不適合に対する素早い対応、不良品の削減、人員の省力化などに役立つと期待されています。

開発について

開発のきっかけは?

大畑
粉体計測のビジネスは、主に分析室で使用される機器という、非常に狭い領域の中に競合がひしめき合っています。ですから、市場を拡大し競合他社の一歩先を行きイニシアティブを取ることが不可欠というプレジデントの考えがあったことと、製造過程の各ポイントで、粒度分布を自動計測したいというお客さまからの要望が高かったため、分析室ではなく製造過程(プロセスライン)という新しい市場へ投入できる製品を開発しました。

開発に最も苦労された点は?

大畑
最も苦労した点としては、新製品を創り出す難しさとでもいうのでしょうか、分析室で測定時だけ動かすものとは違い、極端な話、生産現場で24時間連続運転できるような、過酷な使用状況にも耐えられる製品にしなければいけなかったということです。そのため、従来使用していた部品をひとつずつ見直して行く作業が大変でした。また、最初にもお話しましたが、製造される粉は多種多様なので、粉によっては粒度測定の心臓部である、光学セル部分に付着し、測定を妨げるものがあり、その除去方法を確立するのに苦労しました。

今後について

今後の販売戦略や目標は?

大畑
粉体の製造設備は、乾式と湿式の両方式がありますが、弊社ISRAは乾式、湿式の両方式に対応できる装置で、アプリケーションも幅広く対応可能となっています。
最初は助走期間があると思いますが、実績を作り、広いアプリケーションに対応できる自信をつけて、お客さまが要望する以上のご提案をしていきたいと考えています。

最後に今後の意気込みをお聞かせください。

大畑
現在、粉体技術カンパニーの主力製品は分析室での使用が主流ですが、今後はこれに加え、製造ライン製品という大きな柱を一本育てて行きたいと考えています。

配管中粒子の粒度分布を連続監視

エジェクタ方式例(乾式)

ISRA(乾式)

特長

  1. 粒度分布の変動をリアルタイム測定
  2. 1台のパソコンで最大4台のISRA出力を監視
  3. 乾式、湿式の両方式に対応可能
  4. Windowsベースの簡単操作
  5. 高い精度と再現性
  6. プロセス配管に直接・簡単取り付け
  7. 低価格でプロセスライン粒度分布測定システムを構築

仕様

測定原理 レーザー回折・散乱式
測定範囲 0.7~700(ミクロン)
出力 40(チャンネル)
試料抽出方法 (乾式)エジェクタによる試料吸引方式(湿式)ポンプによるスラリー吸引方式

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まめ知識

レーザー回析/散乱方式って何?

粉体粒子の集合体にレーザーを当てたときに得られる光の散乱パターンを応用し、粒度分布を測定する方法。粉砕した粉体粒子は真球ではなく、様々な形状をしているため、*ミーの散乱理論で得られた球形の散乱パターンと、サンプルの散乱パターンを比較計算して粒度分布を測定する。日機装の粒度分析マイクロトラックシリーズでは、この方法を採用して精度の高い粒度分布測定を可能にしている。

*ミーの散乱理論

微粒子に光をあてるとそれを中心に様々な方向に光が拡がっていく。これを散乱といい、微粒子の大きさにより散乱の角度と強さが決まる。この関係を定めた代表的な理論。

※上記の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。


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