温圧補正演算式について
実際の運転状態において、温度・圧力が設計値(差圧計算入力値)と異なる場合には、 高い測定精度を得るために、補正が必要となる場合があります。
特に、流体が、「気体」の場合には、この点に充分な留意が必要です。
ITABARの補正演算は、以下の式に従い、実施してください。
尚、流体が非圧縮性の「液体」の場合には、温度・圧力変化に対する補正は、一般的に必要ありません。
気体の場合の補正演算式
Q | 気体の容積流量 |
---|---|
W | 気体の重量流量 |
γ1 | 標準状態(0°C、1atm)における気体の単位体積あたりの重さ(kg/Nm³) |
γf | 流れ状態における気体の単位体積あたりの重さ(kg/m³) |
P | 絶対圧で表した流れ状態圧力(kPa Abs。大気圧 = 101.3kPa) |
T | 絶対温度で表した流れ状態温度(°K。0°C = 273.15°K) |
Z | 気体の圧縮係数(通常は、1.0とする) |
Suffix d | 設計時の値 |
Suffix a | 実際の値(補正値) |
標準状態容積流量の補正係数演算式
Qa (真の流量) = F × Qd (指示流量)

流れ状態容積流量の補正係数演算式
Qa (真の流量) = F × Qd (指示流量)

重量流量の場合の補正係数演算式
Wa (真の流量) = F × Wd (指示流量)

液体の場合の補正演算式
Q | 気体の容積流量 |
---|---|
W | 気体の重量流量 |
γf | 流れ状態における気体の単位体積あたりの重さ(kg/m³) |
Suffix d | 設計時の値 |
Suffix a | 実際の値(補正値) |
容積流量の補正係数演算式
Qa (真の流量) = F × Qd (指示流量)

重量流量の補正係数演算式
Wa (真の流量) = F × Wd (指示流量)

水蒸気の場合の補正演算式
W | 気体の重量流量 |
---|---|
γf | 流れ状態における気体の単位体積あたりの重さ(kg/m³) |
Suffix d | 設計時の値 |
Suffix a | 実際の値(補正値) |
重量流量の補正係数演算式
Wa (真の流量) = F × Wd (指示流量)

例題
流体: 空気
配管径: 300A SGP
設計温度: 20°C → 実際の温度 40°C
設計圧力: 50kPaG → 実際の圧力: 100kPaG
指示流量: 100Nm³/min → 真の流量?
気体の標準状態容積流量(Nm³/min)であるため、上記①式より、
γ1a = γ1d = 1.2928 kg/Nm³
Pa = 100 + 101.3 = 201.3 kPa Abs
Pd = 50 + 101.3 = 151.3 kPa Abs
Ta = 40 + 273.15 = 313.15 K
Td = 20 + 273.15 = 293.15 K
Za = Zd = 1.0 とする。

よって、40 °C、100 kPaG における真の流量は、Qa = F × Qd より、
