インタビュー : 2004年3月

旧粉体技術カンパニー
粉体技術部
リーダー 糠信 敦司

旧粉体技術カンパニー
東日本営業部
リーダー 鬼沢 康夫
動的光散乱式ナノトラック粒度分析計 UPA-EXについて
この装置は何をするものですか?
鬼沢
日機装の粉体計測機器には、粒子の粒度分布を測るもの、表面積を測るもの、ゼータ電位を測るもの、各種計測機器を自動化したものなどがあります。ナノトラック粒度分析計UPA-EXは、粒度分布を計測する弊社機器の中で、最も小さいサイズ0.8nm(1nmは10億分の1m)の粒度分布を計測できる装置です。これはナノテクノロジー時代の魁として、十年ほど前に製品化されたマイクロトラックUPA‐STの下限測定レンジ3nmを0.8nmへとさらに広げ、製品名もより一層ナノテクノロジーのイメージと密接になるよう『ナノトラック』と改めたものです。
この製品は主にどのような目的で使用されるのですか?
糠信
ナノトラックは高濃度な液体中の粒子を分布計測するのに優れています。ですから色の付いた粒子が沢山入っている、高濃度な塗料や顔料、インクジェットプリンタのインクなどの粒度分布を計測する用途に多く使用されています。これは粒子の大きさを管理することが、その塗料やインクの品質管理に大きく影響してくると言っても過言ではないからです。近年のインクジェットプリンタの高精度・高画質化に伴い、粒子の微細化が進んでいますが、それもナノトラックのような粒度を分布計測する評価装置がなくてはできないことなんです。
なぜナノトラックは高濃度な液体を得意とするのですか?
糠信
それはナノトラックの測定原理と構造に特長があるからです。一般的にμm以下の微粒子の高精度な粒度分布測定では、レーザー光を微粒子に照射し、その反射した散乱光から微粒子が行うブラウン運動を計測し、粒子の大きさを求めます。しかし高濃度な液体の場合、散乱光が検出部まで届かず高精度な測定ができないことがあります(図1を参照)。ナノトラックでは、直接オプティカルファイバー(レーザー光の照射・検出部)を液体に接触させる画期的な構造でこれを可能にしています(図2を参照)。また測定原理には、レーザー光基準波と散乱光波を合わせて測定するヘテロダイン法を採用し、ノイズの影響を最小限に抑えた高精度な測定を実現すると共に、下隈測定レンジを0.8nmと広げるため、新しくFFTパワースペクトル技術などを導入しています。
図1 従来型の検出方式
セルの外部からレーザーを照射
図2 オプティカルファイバーにて
直接ブラウン運動を検出するナノトラック
開発について
開発のきっかけは?
鬼沢
現在、粉体技術カンパニーが扱うマイクロトラックシリーズの開発は、1999年に弊社の子会社となった、米国Microtrac Inc.が一括して行っています。ナノトラックは遺伝子研究やバイオ、製薬関連企業が要望するシングルナノ(1~9nm)の計測ニーズをいち早く捕らえ開発・製品化したもので、Microtrac Inc.が日機装グループとなって初めてリリースした記念すべき製品でもあります。
付加価値を高めていくとの事ですが、具体的にはどのような機能なのですか?
糠信
例えば電子顕微鏡写真を測定結果に添付する「画像取り込み機能」や粒度分布データを時系列で表示する「時系列トレンドグラフ」、累積粒度分布を重ね書きで表示する「複数データ重ね書き」などがあり、日本での25年に亘る営業活動で得られたお客さまのニーズを、絶えず日本のソフトウェア開発にフィードバックしています。
ナノトラックには150型、250型の2機種がありますが?
糠信
150型はバッチ式と呼ばれるタイプで、測定部を高重量金属ブロックで構成しており、振動の少ない安定した状態で試料の粒度分布が得られるため、大学や企業の研究室で多くご使用いただいています。250型はインライン式で、100mまで延長可能なオプティカルファイバーを備えているため、粒子生産現場の配管内で直接粒度分布を計測することができます。某大学では超伝導マグネット内の粒度分布をリアルタイムに測定する実験に使用されていると聞いています。
今後について
今後の販売戦略・目標は?
鬼沢
ナノトラックは、ナノテク・バイオ関連企業や大学への販売に重きを置きながら、従来の塗料、顔料、インク関連企業にも営業活動を行っていきたいと思っています。特に中国市場への販売が有望ですので、活動を活発にしていきたいですね。
糠信
より市場のニーズにあったソフトウェア開発を目指したいと思っています。それと、今後出てくる新技術に向けた用途開発も行っていきたいですね。従来電子部品のプリント基板というのはパターン焼付け、現像、エッチングなどの工程で製作されていましたが、近年では金属粒子を細かくした鋼系ナノインクなどで、直接基板に電子回路をプリントしてしまうという技術も研究されているそうですから、粒子計測の用途も今後もっと広がっていくのではないかと考えています。
ナノトラック4つの特長
ナノトラック粒度分析計
UPA-EX
特長
- 高精度・高分解能
ヘテロダイン法を筆頭に、革新的な各種特許技術の採用 - 高再現性
幅広い試料濃度範囲で安定したデータを計測 - 高利便性、高操作性
お客さまデータの管理機能充実、測定時間が従来の1/10に短縮 - 広いアプリケーション
サンプルセルや測定場所を選ばず、幅広いアプリケーションに対応
製品仕様
| 測定原理 | 動的光散乱理論(FFT‐パワースペクトル法) |
|---|---|
| 測定範囲 | 0.8nm~6,500nm |
| 測定時間 | 30~1,800秒(粒子径による) |
| 外形寸法・質量 | 102(W)×381(D)×152(H)mm 3.2kg |
関連情報
まめ知識
ブラウン運動って何?
1827年イギリスの植物学者ロバート・ブラウンが、草花の花粉(微粒子)が水中で絶えず振動し不規則に動くことを発見したことにちなんで名付けられた現象。その後花粉だけではなく有機物、無機物に関係なくこの現象が見られる事がわかった。
1906年アインシュタインはこの現象を、微粒子の周りにある水や空気の分子運動が粒子を突き動かすことによって起こると考えた。分子よりも大きな微粒子は分子の衝突とつりあって暖慢な動きとなるが、小さい粒子への衝突は大きいため、活発で不規則な動きとなる。周囲の分子の運動が止まらない限り粒子の運動は続く。
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