均圧熱圧着装置 アイソボンダー

インタビュー : 2003年4月

旧産業機器カンパニー 技師長
清水 信行

計装工場技術部産業機器グループ
森 隆博

均圧熱圧着装置について

この装置は何をするものですか?


アイソボンダーは加圧面に特殊弾性体を用いた熱圧着装置で、高密度電子部品の基板実装などに使用されます。
例えば、多くの電気製品には、ICチップ(電子部品)を載せた基板が使われていますが、近年デジタルカメラやビデオカメラなどの小型化に伴い、基板自体の小型化、そしてそれにあわせた生産の効率化が求められるようになって来ました。
アイソボンダーでは、従来のプレス機ではできなかった広範囲で均等な圧力を、熱と共にICチップ(以下チップ)と基板に加えることでその課題を克服しました。

何故そのようなことが可能になったのですか?


そうですね、その前にまず、チップ実装の工法について少しご説明させてください。
チップにはバンプと呼ばれる微細な端子電極がついています。チップは、バンプと基板側の回路端子とが重なるように位置合わせされた後に基板に熱圧着させるのが一般的です。しかし、たかだか5~10ミリメートル角のチップ面に200個程度のバンプが数十マイクロメートル間隔で並んでいますので、熱圧着時にチップが40~50マイクロメートルずれるだけで導通不良などの問題が生じます。また、個々のチップの高低差が数マイクロメートル程あるだけで、プレス面との間に隙間ができてしまい、均一に圧力をかける事ができません。ですから従来のようにプレス面に金属などの剛体を使った装置では、基板上に数十個のチップを並べて、同時に圧着することができず、ボンディングマシンと呼ばれる装置を使って一回に1~5程度のチップを個々の加圧ヘッドで圧着する工法が取られていました。
そこでアイソボンダーでは、プレス面に柔らかくて丈夫な特殊な弾性体を使い、チップを上から包み込むように押すことで、位置ずれや隙間をなくして、多数チップの一括実装を可能にしました。
その結果、生産性の向上、実装時間の大幅な短縮を実現したというわけです。

開発について

開発のきっかけは?

清水
もともとは、弊社が開発した弾性体プレス装置の先行モデルであるドライ・ラミネーターIIでチップの実装が効率良くできないか?というところからスタートしました。しかしドライ・ラミネーターIIで使っている弾性体では、チップの位置ずれが発生するなど思うように行かず、プレス面の均圧性を画期的に向上させるため、弾性体の開発に取り組みました。

開発で一番苦労されたのも、その辺りですか?


はい。最初はチップが動くのは、プレス面が柔らかいせいではないかと考え、より硬い弾性体で試験していました。それでも上手く実装することができませんでしたので、次に山も谷もすべて包み込むような柔らかい物をイメージして、ゲル体や流動体で使えそうなものをすべて検証しました。そして行き着いたのが、お餅のように柔らかいゲル体でした。しかし柔らかすぎてそのままでは使えないので、シール方法を考えなければならない、熱伝導性を高めなければいけないなど、材料メーカーとの共同開発に約一年掛かりました。

今後について

今後、どのような販売戦略を考えていますか?

清水
現在アイソボンダーが最も注目されている用途としては、ACF(異方性導電フィルム)を用いた実装があげられます。ACFは接着性のフィルムの中に4~5マイクロメートルの導電性粒子を分散させたもので、先程お話したチップと基板の間に挟み熱圧着することで、対向する電極部分の永久接着、電極間の導電、電極パターン間の絶縁が同時に達成できます(図1を参照)。従来ACFは、液晶画面の駆動用ICの実装に多く使われていますが、最近では他の表示体や基板への実装へと用途拡大が急速に進んでいます。
既にアイソボンダーは、大手ACFメーカーとの共同実験の結果として、ACF用の圧着機として十分満足できる性能を持つとの高い評価を得ています。今後はACFメーカーを媒介にして、国内外の実装メーカー(ACFユーザ)の生産ラインヘの展開を目指しています。

最後に今後の意気込みをお聞かせください。


技術的には標準化、システム化をしたいこと、そして開発した弾性体をより生かせるように、装置の完成度をさらに高めていきたいですね。
清水
アイソボンダーは業界で望まれていたチップの一括実装を実現する画期的な製品ですので、産業機器カンパニーの主力製品の一つとなる資質を十分に持っていると考えています。ですからできるだけ早く有力な材料メーカーや周辺装置メーカーとアライアンスを組んで業界に浸透させ、実装技術革命の一翼を担えるヒット商品に成長させたいですね。
※マイクロメートル=百万分の1メートル

ICの同時実装を特殊弾性体で可能に!

アイソボンダー小型卓上
(低推力)タイプ

特長

  1. 基板上に配置された電子部品(IC等)を一括して均等に熱圧着[実装生産性の向上]
  2. 電子部品実装時の欠陥解消[実装信頼性の向上]
  3. 高さの異なる電子部品も一括して熱圧着[アプリケーションの拡大]

仕様

推進力 5~75KN
最高温度 230℃
製品サイズ 100~200mm
真空(オプション) 10torr

まめ知識

ゲルって何?

ゲルとは、コロイド状(一般的に結晶化しにくい物質=にわか質)の溶液が蒸発や冷却、化学変化などによってゼリー状の半固体もしくは固体になることで、液状のものが不溶性(溶けない)のゼリー状になること。
(例)塗料が容器の中で固まって、シンナーを加えてかき混ぜても、一様に溶けない状態。

※上記の内容は掲載時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。


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