インタビュー : 2002年6月
旧産業機器カンパニー 東日本営業部長 国政慈志
開発センター 東村山R&Dセンター 堀岡 悟
超臨界CO2微粉化装置SCスプレーヤーとは
この装置の用途を簡単に教えてください。
国政
この装置は、弊社の超臨界高圧技術を用いて、従来ではできなかった薬剤の微粉化を行う装置です。薬剤の微粉化は薬の体内吸収を高めます。また、薬剤を微粉化することで、医薬品業界で次世代技術として注目されているDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)への応用が期待されています。
どういう経緯で開発に至ったのですか?
国政
4年ほど前に、取引している医薬品商社から問い合わせがあり、某製薬会社に納入したことがきっかけです。各製薬会社が薬剤微粉化及びコーティングに注目しており、将来期待できる市場であるため、当時この分野でご高名だった福岡大学工学部化学工学科の三島助教授を顧問としてお迎えし、デモ機の製作、開発を進めました。
なぜ、製薬業界において、超臨界流体が注目されているのですか?
国政
超臨界の技術自体は1800年代後半からあり、実用化されたのは1970年代でした。製薬業界で注目されるようになったのは、数年前に超臨界を使った微粉化技術が文献などで発表されたからです。そのころ、薬品の高機能を目的として薬品が高分子化し、溶解しにくくなっていました。そのため、適当な溶媒がなく、あったとしてもその溶媒に毒性があるため、環境への影響が懸念されていました。しかし、超臨界CO2微粉化装置はCO2を溶媒とするため、その心配がないのです。弊社は、有害な有機溶媒を使わない方法で、将来的には炭酸ガスの回収まで考えていますので、環境にも優しい装置だと考えています。
他社に負けない弊社の売りは何ですか?
国政
カフェインの微粉末を使って90%以上の回収率で得ているところです。超臨界CO2微粉化装置を取り扱っているメーカーは数社ありますが、弊社のように試験装置とはいえ、仕込み量の90%以上の回収率を得ているところはありません。また、産業機器カンパニーの高圧技術、粉体技術関連製品の粉体技術も、将来生産機になった時の総合的なシステム技術としては、他社にはないものではないでしょうか。
開発について
開発する上で苦労した点はどんなところですか?
堀岡
やはり回収率を上げることです。炭酸ガスに薬剤が溶けて、ミクロン・ナノオーダーの粉がその中に混じり込んで噴霧されるわけですが、ミクロンやナノはタバコの煙のようなものですから、炭酸ガスと一緒に外に出てしまって回収できないのです。そこで、回収率を上げるために、フィルターに炭酸ガスを通過させて粉を吸着させるという捕集方法を確立するのに苦労しました。
開発にどのくらいかかりましたか?
堀岡
2000年6月にデモ機の製作を開始しました。改善点が見つかった後、改良機を再製作するまでに約1年半かかりましたが、その中でも、回収率を上げるためには4ヵ月を要しました。
今後の予定
今後、どのような販売戦略を考えていますか?
国政
お客さまによって仕様が違うので、それに合わせたものを作る、つまり、お客さまがもちこんだものが超臨界炭酸ガスで溶けるかという条件を見出し、お客さまに合ったものを提供しなければなりません。そこで、お客さまのターゲットとしている薬剤が弊社の装置で溶けるかどうかを確認してもらうために、実際に工場に来ていただき、サンプルテストなどのデモを行い、超臨界を使った微粉化技術の有効性をPRしていきます。そのためには、カフェイン以外のデータもそろえて PR材料を増やしていくことも考えています。また今後は、展示会にも出展し、アピールしていきたいと思っています。
すでにデモを行っているということですが、お客さまの反応はどうでしたか?
国政
すでに十数社デモを行いましたが、非常に興味をもっていただいています。主要顧客となる製薬会社は、現在、溶解しにくく微粉化できないものをこの装置を使って溶解・微粉化したいと考えています。ですから、新しい技術はいくらでも入り込む余地があるのです。
最後に、今後の意気込みをお聞かせください。
国政
今後も多数の会社にデモを行う予定ですが、お客さまに積極的にPRしていきます。それらに採用されれば、その系列、子会社など多数への展開も図れます。また、海外展開も合わせて視野に入れていきたいと考えています。そして、できれば今回の技術を他のアプリケーションにも展開していきたいですね。 2002年度末までに10台程度の受注を目指してがんばります。
超臨界二酸化炭素を利用して薬剤を微粉化、コーティングする装置

ここが特長!
- 医薬品を1ミクロン以下に微粒子化できる
- カフェインで回収率90%以上
- 有機溶媒を使わないので、環境に優しい
- 微粉化とコーティングがDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)に役立つ
まめ知識
超臨界流体って何?

物質の状態は、一般的に固定、液体、気体の3態が知られています。液体、気体のような流動性を示すものを流体といいます。
気体と液体の境界である気液平衡線には、高温側に終点(臨界点)が存在します。超臨界流体とは、この臨界点を示す臨界圧力、臨界温度以上の状態にある流体として、便宜的に定義されます。超臨界流体は気体の性質と液体の性質を持つ流体となります。SCスプレーヤーは二酸化炭素を利用していますので、比較的低温低圧(31°C、7.4Mpa)で超臨界状態を作り出すことができます。
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