日本透析医学会の記録によると、その前身である人工透析研究会が発足した35年前には透析患者さんは215人といわれている。今日まで透析療法は目覚しい進歩を遂げ、2002年12月末には23万人を超える患者さんが治療を受けている。ダイアライザーに用いられる透析膜においても、シート状、チューブ状を経て、現在では透析効率に優れた中空糸膜が主流になっている。
PEPA膜を使用した
ダイアライザーFLXシリーズ
弊社は1967年に米国ミルトン・ロイ社と透析装置に関する総代理店契約を締結し、医療器事業に踏み出した。その後弊社独自の技術により優れた人工腎臓装置を開発した。当初はダイアライザーも輸入販売していたが、1975年からコイル型、キール型ダイアライザーを開発し、順次自社製ダイアライザーの供給を実現していった。そして、1970年代後半になると、中空糸型ダイアライザーが次第に市場で主力を占めるようになり、弊社も1978年から中空糸膜を購入し中空糸型ダイアライザーの生産を開始した。
1985年は透析膜の透過性が変わる大きな転機の年になった。透析療法では尿素やクレアチニンなどの尿毒症物質及び過剰水分の除去、電解質の補正等が行われるが、この年、β2-ミクログロブリンが除去物質のターゲットに加わり、低分子量蛋白領域の除去も強く求められるようになった。
このような市場の要求に答えるために、1986年4月、透析膜を自社開発することが決定された。 当時は透析膜素材としてセルロースが主流であったが、合成高分子である、EVAL、PS、PMMA、PANなどの透析膜もすでに上市されていた。弊社は透析膜の製造においては後発企業であり、市場に参入するためには今までに使われていない素材を用いて透過性能の高い膜を作る必要があった。高機能膜であること、他社特許に抵触するリスクの小さいことなどを目標に、新素材、新手法を検討した。そこで行き着いた考え方がポリマーアロイだった。弊社が開発したPEPA膜は、ポリアリレートとポリエーテルスルホンという二種類の合成高分子を用いて中空糸膜を作る。二つの素材を溶剤に溶かし、中空糸を作る過程で凝固させると、各々の高分子凝固速度の違いから、添加物を入れなくてもポア(細孔)を作ることができ、ポアサイズをコントロールすることができた。このような手法は前例がなく、実際にこのポリマーアロイ技術の特許は日本だけでなく欧米でも権利化できた。こうして開発したPEPA膜ダイアライザーは1989年に治験及び製造承認申請を行い、1990年に製造認可を取得した。そしてFLXシリーズとして発売を開始、低分子量物質の透析性に優れた高機能膜として注目された。
Nikkiso Tomorrow
近年、血液透析療法においては除去性能や生体適合性の面で個々の患者の症状に一層適合した、様々な仕様のダイアライザーが要求されるようになっている。このような要求に応え、日機装では親水化PEPA膜ダイアライザーFDシリーズを開発し、2001年に認可を取得した。親水化PEPA膜は、中空糸膜の血液接触面を親水性にすることで血中蛋白質の吸着抑制を可能にした、他の透析膜には見られない特徴的な構造の膜である。従来のPEPA膜の長所を生かして開発された親水化PEPA膜ダイアライザーFDシリーズは、お客さまからも使いやすいと好評である。
(2004年3月)
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